(株)

ソナーレ・アテリア久我山の
スタッフブログ
Staff Blog

"Life Focus"を形にする取り組み ~和敬清寂 想いを結ぶひととき~

皆さま、こんにちは!
ケアスタッフのSです。
街路樹が冬の装いへと移り変わり、朝の空気にひときわ清らかな冷たさを感じるころとなりました。

今回は、当ホームの“Life Focus”活動の様子をご紹介いたします。

ご入居者のT様は、長年にわたり茶道に親しんでこられた方です。
ご入居後も「お茶の楽しさを知ってほしい」との想いから、折に触れてお抹茶を振る舞ってくださいました。
しかし、最近では体調の影響もあり、茶筅を思うように振ることが難しくなってきました。
そのため、呈茶の機会は以前より少なくなり、茶道を楽しみとして続けてきた時間が遠のきつつありました。

また、「茶道に関心を持つ若い方々にも、その魅力を伝えたい」とのお気持ちから、ご自身でお茶を点てる役割からは一歩離れ、作法の指導という立場に回られていました。

その温かな想いを形にするため、PA(パーソナルアシスタント:ご入居者個別担当スタッフ)が呈茶の会を企画し、11月の“Life Focus”の日に開催する運びとなりました。

迎えた当日。
T様は、おもてなしの心を大切に、会場となった応接室の準備から取り掛かられました。
掛け軸を掛け、季節の花を一輪挿しに生けて、静かな空気が流れる「和」の空間へ。
茶道に息づく「一期一会」、その一度きりの出会いを大切にする心が、部屋全体に満ちていきます。

呈茶が始まると、T様は今回は見守り役として参加され、お集まりくださった皆さまに向けて茶道の手ほどきを丁寧に行ってくださいました。
ご自身でお茶を点てることは難しい状況でありながら、
「若い方にはお茶を点てる楽しさを感じてほしい」
「お客さまには、おいしく味わっていただきたい」
そんな想いを込めて、ひとつひとつの所作に心を尽くされる姿が印象的でした。

PAもご指導を受けながら、緊張の面持ちで茶筅を振り、会場には張り詰めた静けさと、凛とした空気が漂っていました。

茶筅の穂先がゆれる音、湯気とともに立ちのぼる抹茶の香り―。

参加された皆さまは、しばし言葉を忘れたかのように、じっと見入っていました。

季節の和菓子をご用意し、お一人おひとりへ真心を込めてお茶をお届けすると、
「結構なお点前で」
とうれしいお声があがりました。
その瞬間、会場全体が和やかな空気に包まれました。

当ホームの“Life Focus”の取り組みでは、これまで大切にしてこられたことや、生きがいとして続けてきた活動を、ホームでも再び実現できるようサポートすることを大切にしています。
今回の呈茶会は、T様の想いを新たな形でつないだ時間となりました。

次はどなたの想いが形になるのでしょうか。
スタッフにとっても楽しみが広がります。