2026/05/14
「一緒にケーキを」そのひと言から ~リハビリがつないだ外出~
皆さま、こんにちは。
作業療法士のTです。
当ホームでは、“Life Focus”の取り組みとして、ご入居者お一人おひとりが「その方らしく」お暮らしいただけるようサポートしております。
これまで大切にしてこられた習慣や好きなこと、続けていきたい日課、ご家族との思い出などを丁寧にうかがい、その方の想いに寄り添いながら、日々の暮らしを支える取り組みを行っています。
特別な外出やイベントの実施だけではなく、「これまで当たり前に続けてこられたこと」をホームでも継続できるよう支援することも、私たちが大切にしていることのひとつです。
今回は、そんな“日課の継続”につながった外出のご様子をご紹介いたします。
■打ち明けられた想い
「あなたとケーキを食べに行きたい」
ある日、歩行訓練中のF様が、ふとそのようにお話しくださいました。
普段の生活の中では、ご自身のご希望を積極的に話されることの少ないF様。
だからこそ、そのお言葉を聞いた瞬間、私はとても嬉しい気持ちになりました。
F様はホームへご入居された当初、車椅子をご使用されていましたが、リハビリを継続される中で、現在ではホーム内を歩行器で移動され、屋外では付き添いのもと杖で歩行できるまでに回復されています。
日々のリハビリをとおして、少しずつ築かれてきた信頼関係の中で、
「ゆっくり話をしながら、一緒にケーキを食べたい」
というお気持ちを打ち明けてくださいました。
その想いにお応えしたいと思い、すぐにお出かけの日程を決定。
当日を迎えるまで、私自身も楽しみな気持ちでいっぱいでした。
■念願のケーキ店へ
外出当日は、爽やかな晴天。
F様は、ご自身の力で獲得された杖歩行で、近隣のケーキ店へ向かわれました。
店内には色とりどりのケーキが並び、
「どれにしようかしら…」
と、楽しそうに悩まれるご様子が印象的でした。
じっくり選ばれたのは、チョコレートケーキ。
「これにしようかな」
そうお話しされるF様の表情は、マスク越しでも伝わるほど明るく、自然と笑みがこぼれていらっしゃいました。
席に着き、ケーキが運ばれてくると、
「これにしてよかったわ。とっても美味しい」
と、満面の笑み。
召し上がっている時のF様は、ホーム内でお見かけする時とはまた違った、とても柔らかな表情をされていました。
ケーキを囲みながら、普段以上にゆっくりとお話をうかがうことができ、私にとっても大変貴重な時間となりました。
■その方らしい暮らしを支えるために
帰り際には、
「今日はありがとう。また機会があったら付き合ってくださいね」
と、あたたかいお言葉をくださいました。
そのひと言に、作業療法士としてのやりがいや、この仕事の喜びを改めて感じることができました。
リハビリは、身体機能の維持・向上だけが目的ではありません。
その方が「やりたいこと」を実現し、その方らしい暮らしにつなげていくことも、大切な役割だと感じています。
これからも、リハビリの場面に限らず、日々の暮らしや日課の継続をとおして、ご入居者お一人おひとりの想いに寄り添いながら、生活の充実につながる支援を続けてまいります。
次回もお楽しみに。