2025/09/24
リハビリの極意partⅢ ~作業療法士の視点~
皆さま、こんにちは。
いつもソナーレ祖師ヶ谷大蔵のブログをご覧いただきありがとうございます。
作業療法士のTです。
「リハビリの極意」第3回となる今回は、身近なものを使った訓練をご紹介いたします。
作業療法士という職業は、医療の中でも少し分かりにくい存在かもしれません。
ここでいう「作業」とは、家事や仕事、趣味、遊び、対人交流など、日常生活を彩るあらゆる活動を指します。
私たちの役割は、これらの活動をとおして、その方がより豊かで充実した毎日を送れるよう支援していくことにあります。
今回ご紹介するのは、H様。
右肩を骨折され、治癒はしているものの「動かすのが怖い」という思いから右手を使う機会が極端に減ってしまっていました。
いざ右手を動かそうとすると表情がこわばり、身体が緊張してしまうため、思うように動かすことができません。
そこで採り入れたのが風船バレーです。
ラリーを楽しむ中で、無意識に右手を使うことを目指したこの訓練は、一見簡単そうに見えて実は奥が深いもの。
適切な位置に返すには、距離感や速度を常に意識する必要があり、自然と関節や筋肉を動かさざるを得ません。
H様は最初こそ慎重なご様子でしたが、次第に笑顔で風船を追いかけ、楽しみながら右手を動かしていらっしゃいました。
関節を固めないためには、とにかく「使う」ことが大切です。
たとえ難しさがあっても、「どのようにしたら動かす機会を作れるか」を考えながら訓練を工夫する―。
それこそが作業療法士としてのやりがいだと感じます。
これからもお一人おひとりの状態に合わせ、内容を吟味しながら、効果的で楽しいリハビリを提供できるよう尽力してまいります。
次回もどうぞお楽しみに!