2025/08/16
リハビリの極意 partⅡ ~作業療法士の視点~
皆さま、こんにちは。
いつもソナーレ祖師ヶ谷大蔵のブログをご覧いただきありがとうございます。
作業療法士のTです。
前回に続き、私が日々どのようにリハビリを行っているかを、あるご入居者との関わりをとおしてお伝えいたします。
今回ご紹介するのはH様。
H様は呼吸がしにくく、痰が絡みやすいためナーススタッフによるサポートが欠かせません。
酸素を使いながらの生活ですが、リハビリを行う中で私が大切にしているのは、
「少しでも呼吸が楽になること」、そして「痰が出やすい状態に整えること」。
この2つです。
H様は身体に力が入りやすく、同じ姿勢が続くと胸まわりの動きが小さくなり、呼吸が浅くなってしまいます。そこで、まずはリラックスしていただけるようにお声がけをしながら、胸が大きく動くように身体をゆっくりとほぐしていきます。
リハビリを始める前には、必ず目を合わせてお話をします。
信頼関係を築くことが何より大切だと考えているからです。
少しずつ胸の動きが広がり、深く息を吸ったり吐いたりできるようになったら、次は姿勢を変えていきます。
痰がうまく出せない原因のひとつは「出にくい場所にとどまってしまう」ことです。
そこで、姿勢を工夫しながら重力を利用し、痰が外に出やすいようにサポートします。
これまでに私が病院で培った経験と呼吸に関する専門的な知識を生かしながら取り組んだ結果、H様の呼吸は安らぎ、より快適にお過ごしいただけるようになりました。
これらを丁寧に行うことで酸素を取り込む力が高まり、H様も楽に過ごせる時間が増えてきました。
H様は音楽がお好きで、演奏会にも毎回参加されています。
「これからもずっと音楽を楽しんでいただきたい」―。
その想いを胸に、私はご入居者お一人おひとりの状態に合わせて、少しでも快適にお過ごしいただけるようリハビリを続けてまいります。
次回もどうぞお楽しみに!