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ソナーレ浦和の
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"Life Focus"(LF) を形にする取り組み ~私の愛する街~

皆さま、こんにちは。ケアスタッフのYです。
当ホームが誇る中庭の桜もすっかり葉が茂り、新緑が眩しい季節となりました。
さて今回は、私がはじめてPA(パーソナルアシスタント:ご入居者個別担当)として取り組んだ
“Life Focus”(LF)事例をご紹介いたします。

ご入居者のK様はいつもにこやか。食べることが大好きで
「なんでも美味しくいただくわよ。好き嫌いはないの」
と、毎日のお食事も残さず召し上がっていらっしゃいます。
私がK様のPAとなって間もなくのLFの日。
ご本人のことをもっとよく理解しようと、さまざまなお話をうかがう中で、
「私、鰻が大好物なの。専門店においしい鰻を食べに行きたいわ」
とのご要望をいただきました。
そこで早速、実行に向けてプランを練り始めました。

聞けばK様は、生まれも育ちも浦和という、生粋の『浦和っ子』。
時代とともに変わっていく浦和の街を、じっと見守っていらした方です。
このため浦和の『名物』である鰻はなじみ深く、ご実家でもお祝いといえば、決まって鰻。
お父様の提案でご家族と食べた『思い出の味』なのだとか。
地元の名店にも詳しく、こちらで挙げたいくつかの候補店のなかから
「このお店知ってるわ、有名よね。ここにしましょう!」
と、逆にご推薦くださいました。
お店を選んでいらっしゃる間や、鰻にまつわるお話をされているときのK様の表情はとても明るく、ワクワク感が伝わってくるようでした。

当日、お店に向かう道すがらも
「ここには昔、私が通っていた学校があってね」
「あっちには郵便局があったのよ。今の場所は、ここから移ったの」
などと、変貌する浦和の街の様子や、思い出話などをたくさんお聞かせくださいました。

お店に到着し、お待ちかねのうな重が目の前に運ばれてくると
「まぁ、美味しそう!立派ねぇ」
と、瞳を輝かせるK様。本当にうれしそうです。
おいしい、おいしいと、夢中で召し上がっていました。

お食事を終えられ、ほっとひと息。
するとK様は、おもむろに箸袋を取り出し、慣れた手つきで何やら折りはじめました。
「ほらできた。しおり」
「昔はものがなかったでしょう。だからなんでも作るしかなかったのよ。今は既製品でいいものがたくさんあるけどね」
と、スタッフの分も折ってくださいました。
手のひらに乗る小さな“作品”に、K様が込めた計り知れない深い想いを感じました。
今日の日の思い出に、大切にしますね。

ホームに戻られたあともK様は
「いいもの食べてきたのよ」
と、嬉しそうに周りのご入居者にお話しされていました。
その満足そうな笑顔に、私が企画した今回のプランが成功したことを実感しました。

今回のLFの取り組みを通じて、K様の幼いころからの思い出やご家族とのつながり、地元愛、価値観、お手先の器用さやご興味のあることなどを知ることができ、ほんの一部ですがK様の“ひととなり”に触れさせていただけた気がいたしました。
とはいえ、まだ初回。
これからも担当PAとして、K様のさらなる理解の深化に努め、住み慣れたこの浦和の街で『ご本人の望む暮らし』が形づくれるよう、努力を重ねてまいります。

K様、次回のLFの日も、もっとお話を聞かせてくださいね!