2025/05/07
良質な睡眠とアクティビティ vol.2 ~作業療法士の「心通わすペアハンドマッサージ」~
皆さま、こんにちは。
作業療法士(OT)のSです。
当ホームで実施しているナイトアクティビティのなかには、良質な睡眠につなげることを目的としたいくつかのプログラムがあります。
そこで今回は、以前ブログ「良質な睡眠とアクティビティ vol.1」の第2弾として、OTが監修する『ぺアでハンドマッサージ』をご紹介いたします。
唐突ですが、皆さまは
「人間関係で悩みがある」
「仕事や生活で不安に思うことがある」
など、何か気に病むようなことがあったとき、なかなか寝付けないといった経験をされたことはないでしょうか?
また、反対に
「楽しいことがあった!」
「幸せを実感することがあった」
など、嬉しいことがあった日は、心が充足し、すぐに眠りにつけたことはありませんか?
『ペアでハンドマッサージ』では、そうした心のわだかまりを解消させ、意図的に充足感をつくりだすことで、眠りを誘います。
こちらも過去ブログ「ユマニチュード® ~優しさを伝えるケア技術~」でご紹介しているとおり、当ホームでは、ケア手法の一種として「ユマニチュード®」を実践しています。
ユマニチュードとは、主に認知症の方に効果的とされており、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱からなる要素を使ったコミュニケーション、マルチモーダル・ケアを使うことにより、ケアをされる側に優しさを伝える技法のひとつ。
『ペアでハンドマッサージ』では、この技法を採り入れています。

ここからは、実施の様子をご紹介します。
ナイトヨガの際と同様に、会場の照度やフレグランスにもこだわり、リラックス空間を演出します。



仲の良いご入居者同士でペアになって座り、いよいよマッサージスタートです。
まずは手を温めるところから。
蒸したタオルでお互いの手を包み、血行の循環をよくしていきます。
手が十分に温まったら、アロマオイルを用いてお互いにマッサージを施します。
マッサージ方法は、OTがついて、丁寧に指導します。
相手の目を「見て」、「お話」をしながら、優しく「触れる」。
時に「立ち上がって」念入りに揉みほぐす...。
これらの動作は「ユマニチュード」の4つの柱に基づいており、自然と技法が実践できる仕組みとなっています。


実際に参加された方からは
「こんな近い距離で人の手を握ったの、家族以外でははじめてかも」
「でも、会話もしながらなんて、楽しいわね。気持ちの上でもぐっと距離が縮まる感じがする」
「手をなでられるだけで、こんなに気持ちいいのね」
といったご感想が寄せられています。



当ホームでは、全居室にセンシングシステム「ライフリズムナビ®+Dr.」を導入し、お部屋の温度・湿度をはじめ、人感センサーがご入居者の活動状況や夜間の睡眠状態をセンシングしています。
私たちは、これら蓄積されたデータから睡眠サイクルを把握し、スリープマネージメントに取り組んでいます。
ナイトヨガのときと同じように、お友達同士で参加されたO様に『ぺアでハンドマッサージ』に参加された時の睡眠状況をご覧いただきました。
O様に睡眠の状況をおうかがいしたところ、
「人づきあいがあまり得意な方ではないので、人間関係で悩んでしまうこともあって…。そうすると、なかなか寝付けない夜もあるのよね」
「1回起きちゃうと、なんだかソワソワしちゃって、それ以降眠れなくなってしまうこともあるわ」
O様がおっしゃるように、日によってベッドに入られてから入眠するまでに時間がかかったり、夜間に覚醒され、その後1時間以上、入眠されていない日もあったりすることが、データから読み取れました。

では、『ぺアでハンドマッサージ』に参加されたときはどうでしょうか。
参加後の入眠の様子を、解説しながら見ていきます。
O様は、
「ペアハンドマッサージに参加した日は、心がほんわかと温かくなって安心するのよ」
「ヨガをやった夜もそうだけど、よく眠れている気がするわ」
確かにご本人の実感どおり、データ上でもよく眠れていることがわかります。
『ぺアでハンドマッサージ』には、ユマニチュードの「見て」「触れる」ことで「心の充足感」が得られ、心身ともにリラックスして眠りにつけているご様子でした。

ご入居者の健やかな暮らしの実現に向けて、私たちのチャレンジはまだまだ続きます。
ソナーレ浦和が展開する「スリープマネジメント」の今後にも、どうぞご期待ください!
次回もお楽しみに。

※ HUMANITUDEおよびユマニチュードの名称、ロゴは、日本およびその他の国における仏国SAS Humanitude社の商標または登録商標です。
※ライフリズムナビはエコナビスタ株式会社の登録商標です。