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ソナーレ・アテリア大泉学園の
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コラム

2025/09/27

夜の睡眠を守る取り組み 〜転倒ゼロへのアプローチ〜

皆さま、こんにちは。作業療法士(OT)のIです。
今回は、OTとケアスタッフが協力し、夜間の睡眠状態を改善できた一例をご紹介します。

当社では、ご入居者の居室内での活動状況や夜間の睡眠状態を把握するために、居室見守りシステム「ライフリズムナビ®+Dr.」を導入しています。
今回の取り組みは、事故対策委員会での「夜間にトイレへ行こうと立ち上がった際に転倒が続いている。対策を検討したい」という話し合いから始まりました。


◆ 課題の発見

当初、原因として考えられたのは、加齢による下肢や体幹の筋力低下です。
ご本人からも「足腰が弱ってきた」とのお話がありましたが、リハビリ中の動作や居室内での様子を確認すると、筋力だけが原因とは言い切れない印象でした。
詳しく調べる中で、夜間のトイレ回数がひと晩に10回を超えるほど多いことに気づきました。


◆ アプローチ

OTとして夜間のトイレ介助に入り、ご本人にお話を伺う中で「排尿が出し切れていないのでは」という仮説が浮かびました。
試しに下腹部に軽く腹圧をかけていただくと、しっかり排尿ができることが確認できました。
この結果をパーソナルアシスタント(PA:ご入居者個別担当)と共有し、夜間帯にはご自身で腹圧をかけながら排尿していただくよう、ケアスタッフから声かけを行うことにしました。


◆ 改善の経過

夜間のトイレ対応を工夫し始めてから、3か月が経過しました。

前述の「ライフリズムナビ」のデータから、1日あたりのトイレの回数の変化を検証しました。
グラフの中心が深夜0時、赤の縦ラインがトイレの回数を示しています。
多い時にはひと晩で10回以上あった5月に比べ、8月には約5回と半減していることがわかります。

続いて以下の折れ線グラフ。
こちらは、左から「疲労回復度」(黄色)、「快眠指数」(水色)、「快適環境指数」(黄緑)の推移です。

夜間のトイレ回数が減ったことで熟睡できるようになり、それぞれのベストスコアは、疲労回復度で78点から89点へ、快眠指数は88点から92点へとそれぞれ改善されました(赤枠の数値)。

その結果、睡眠の質が向上し、夜間転倒のリスクが低減。
日中の活動量も増え、車椅子でグランドダイニングに降りて、皆さまと過ごされる時間も増えています。


◆ まとめ

今回のケースでは、OTによる評価と仮説、そしてケアスタッフの実行力がうまくかみ合ったことで、想像以上の成果につながりました。
これからもホーム一丸となってご入居者の健康維持に取り組み、笑顔あふれる毎日を支えてまいります。

今後の取り組みにも、どうぞご期待ください!

※「ライフリズムナビ®」はエコナビスタ株式会社の登録商標です。