2025/09/24
お二人の特別な≪トロイメライ≫
皆さま、こんにちは。
ライフマネージャーのMです。
当ホームにおける“Life Focus”の取り組み事例をご紹介するこのシリーズ。
今回は、ご入居前と同じようにピアノを弾き続け、音楽の魅力に浸りながら暮らしたい―。
そんなご入居者の願いがかたちになったエピソードをご紹介します。
先日、K様のお誕生会が開かれた日のことです。
その会に出席されていたH様が、少し緊張された面持ちでスタッフに声をかけられました。
「ちょっとご相談があるんですけど…」
思いがけないひと言に、スタッフの心臓は一気に鼓動を早めます。
「今度のピアノ練習の時に、Kさんのために演奏をしたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」
H様は普段、ダイニングにほかのご入居者がいらっしゃると緊張されることもあり、いつも人の少ない時間を選んで練習されています。
練習の日には「いつもすみません。ありがとうございます」とスタッフへの気遣いを欠かさない方です。
そんな控えめなH様から「K様のために好きな曲を演奏したい」とのお申し出―。
スタッフはすぐにパーソナルアシスタント(PA:ご入居者個別担当)へ共有し、準備が始まりました。
当日までの数日間、K様には内緒のサプライズです。
そして迎えた本番。
軽く練習を済ませたH様のもとへ、スタッフがK様をご案内します。
グランドダイニングの特等席で、間近に演奏をご鑑賞いただけるお二人だけの特別な時間が始まりました。
H様が人前で披露されるのは、ご家族以外でははじめてのことです。
H様が選ばれた曲は、ロベルト・シューマン作曲の《トロイメライ》。
古ドイツ語の「トゥロウメン(夢を見る・憧れる)」に由来し、「夢のような」「夢見心地」といった意味を持つ作品です。
やさしい旋律がダイニングに広がり、まるで時間がゆっくりと流れていくかのようでした。
演奏が終わると、K様は満面の笑みで
「あなた、とてもお上手なんですね。素晴らしかった!」
と大絶賛。
翌日もスタッフに「昨日は本当にすごかったのよ。とてもお上手でね」と嬉しそうに話してくださいました。
K様にとって、忘れられないお誕生日の贈り物になったご様子でした。
H様も「サプライズできてよかった」と晴れやかな表情を見せてくださいました。
今回の出来事は、急なご相談から始まった小さな計画でしたが、お二人にとって夢のようなひとときを共有できる機会となりました。
これからもH様が日課としてピアノを楽しめるよう、スタッフ一同サポートを続けてまいります。
“Life Focus”が目指す「その方らしい暮らし」の実現へ、これからも一歩ずつ寄り添っていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。